眠れない。
不眠はいつも、睡眠に関するお悩み上位を占めています。
みなさんの日常から「眠れない」原因を振り返ってみましょう。
さらに、その対策には蜂がいい、とはどういうことでしょうか?
朝早く起きて、朝食もそこそこに出勤。
朝食やお弁当作りに始まり、子供を起こしてから学校に送り出すまでは戦争状態。
日中はパソコンに向かいながら激務をこなす。
家庭では介護や子育てで手一杯という方もいらっしゃるでしょう。
テレワークが増えると少しは楽になるかと思うと正反対で、画面に向かっての会議の山。
一日の最後のお楽しみはというと、スマホでゲーム。
これでは、こころもからだも休まる暇がありませんね。
車でいうと、寝る直前までアクセルを踏み続けた生活では、夜になったからさあ寝ようと思っても、頭の中は起きたまま、急ブレーキをかけてもすぐは眠れません。
忙しい時には「息つく暇もない」といい、リラックスする時には「息抜き」と表現します。
まさに、息、呼吸は私たちのこころとからだそのものを表しています。
禅の教えである調身・調息・調心を思い出された方もいるかもしれません。
身(姿勢)を調え、呼吸を調え、それにより心が調う。
生きるは息(いき)ることである。
呼吸は生命そのものともいえるでしょう。
私たちが生きていくための活動の多くは、自分ではできないことが多く、例えばいくらがんばっても自分の意志では、心臓や胃腸を動かしたり血管を拡げることはできませんね。
呼吸も同様です。普段は自分で息をしよう!と意識しなくても止まることはありません。
一方で、自分でコントロールできるのも呼吸です。
息を止めよう。
大きく息を吸おう。
ゆっくり息を吐こう。
当たり前のようですが、自分で調節できること、実はこれがとても重要なのです。
多くの方は日中仕事や家事に追われている時に、呼吸を意識することはないでしょう。
このように知らない間に浅く早い呼吸をしていることで、からだには負担がかかっています。
まさに一日中アクセル全開です。
いざ夜になってリラックスしよう、のんびりしようといってもどうしていいのかわかりません。
様々な呼吸法がありますが、どの呼吸法においても、姿勢を調えて、自分で意識して呼吸を行うことで、リラックスすることができて心が落ち着くことを基本としています。
まさに調心・調息・調心。呼吸は大切なんですね。
それでは最後に、眠れない夜に試していただきたい呼吸法をご紹介しましょう。
ストレス対策として、リラックス効果があるとされるのが「蜂の羽音の呼吸法」1です。
まさに「眠れない夜に蜂」です。
ヨガではブラーマリー・プラーナーヤーマ(ブラーマリー呼吸法)1
とも呼ばれ、伝統的に行われてきました。
やり方:
椅子に座っても、寝る前に行う場合は布団やベッドの上でもOKです。
吸う、吐く時間は、個人差がありますので、自分のリズムに合わせた呼吸で大丈夫です。
すべての方に共通するのは、ハミングをすることにより、吐く息が自然とゆっくり、長くなるということです。
こうして、自分の発する振動のゆらぎを感じること、ゆっくりと長い呼吸をすることが、こころとからだに安らぎをもたらしてくれます。
灯りを少し暗くする。
好きな香りを炊く。
静かな音楽を流しながら、蜂の羽音の呼吸法をすることで、ここちよい眠りにつけることでしょう。
きたにし耳鼻咽喉科 院長 医学博士
日本アーユルヴェーダ学会理事長
自身自医をモットーに、西洋医学に加え、補完医療・伝統医学を組み合わせた統合医療を実践。
著書に『耳鼻咽喉科医だからわかる意外な病気、治せる病気』 『「うるうる粘膜」で寿命が延びる!』 『慢性副鼻腔炎を自分で治す(つらい鼻づまりがスッキリ!)』『図解 自力で治す!慢性副鼻腔炎 アレルギー性鼻炎』などがある。