皆さんも、音楽を聴きながら、うとうとしたことがありますよね。
深い眠りに落ちるために、積極的に音楽の助けを借りてみましょう。
これは新しいことではなく、何百年も前から、人は心身を落ち着かせるために音楽を利用してきました。ですが、睡眠に対する音楽の効果がほんもので、純粋に精神的な効果だけではないという証拠が確認されたのは、ほんの最近のことなのです。
新型コロナウイルス感染症が流行し、睡眠がこれほど重要視されたことはかつてありません。けれども、以前にも増して就寝時間は遅くなり、睡眠の状態が悪くなっています。
多くの人が睡眠の問題を解決するための方法をチェックしているというよいニュースもあります。音楽を聴くことは、最も人気のある方法の1つにもなっています。それが、今年YouTubeやSpotifyで眠りのための音楽の人気が大きく上昇した理由の説明となるかもしれません。
よく引用される研究では1、睡眠に問題がある90名余りの学生を3つのグループに分けました。あるグループにはクラシック音楽を聴かせ、別のグループにはオーディオブックで本のテキストを読み聴かせ、3つ目のグループには何もしませんでした。
その結果によると、音楽を聴いた35名の学生のうち30名がよく眠れるようになったのと比べて、オーディオブックを使用した30名では9名だけだったということです。残りのグループは対照群で、変化がありませんでした1。その他の数件の研究でも、音楽が被験者の睡眠の改善に役立つことが証明されています2。
今になってこのような事実に気づくのは不思議に思えるかもしれませんが、さほど驚くことではありません。ウエルネス、マインドフルネス、睡眠健康などの考え方が一般的になったのは、ここ数年のことなのです。
10年前なら、このような突拍子もないことを考える人は少数派だったでしょう。睡眠に対する人々の気持ちの持ち方についても同じことが言えるかもしれません。残念なのは、これらのことを理解するのにとても時間がかかったということです。
さて、音楽をガンガン流して大音量でビートを鳴らす前に注意があります。それは、すべての音楽が気持ちを落ち着かせて、夜に熟睡させてくれるわけではないということです。
研究者たちは1分間に約60拍(bpm)のテンポの音楽が最も大きな影響を及ぼすと言っています。彼らによると、このテンポは、最も睡眠に寄与することが知られている60 bpmの安静時心拍数に一致するように働きかけるから、ということです2。
最高にくつろげると言われる歌が、注意深く構成されたリズムや音とともに60 bpmのテンポで始まるのは、偶然の一致ではありません。
かつて2016年に、イギリスのMarconi Unionというバンドが臨床睡眠療法士と協働して「Weightless」というタイトルの歌を作りました。その目的は、リスナーのストレス度だけでなく心拍数を減少させることでした。比較的ゆっくりした心拍数が、私たちを「闘争か逃走」モードから、目覚める可能性が低い「安静と消化」モードへと導きます。
音楽は主観的なものですが、歌が科学的に作られて、他の睡眠補助薬と同様に睡眠障害に対する効果を持つような未来がきっとくることでしょう。
けれども、その時までは、気持ちが落ち着く音楽のプレイリストを、時間をかけて見つけていきましょう。夜ぐっすり眠れるのなら、そんなに大変な仕事ではありませんよね。
音楽は、睡眠障害がある人に対して驚くべき効果を発揮する場合があります。それでもやはり、音楽では単純に解決できない他の睡眠の問題がある、と認識することは大切です。
音楽の好みのように、自分の睡眠について理解し、自分にとって、何が効果的で何がそうでないのかを知る必要があります。