睡眠時無呼吸は睡眠中の呼吸に影響を及ぼす可能性があり、心血管の健康に関連する生理学的ストレス反応と関連していると報告されています。閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のある人は、心血管疾患のリスクが高いことが、これまでの研究で示されています¹。
未治療の睡眠時無呼吸と以下の心血管関連のアウトカムとの間に関連性を報告した研究もあります。 両者の関連性を知っておくことは、健康維持の取り組みや、医療従事者 と効果的な治療について話し合う際に役に立ちます ²。
睡眠時無呼吸と心疾患との関連を理解するには、睡眠時無呼吸のさまざまなタイプと、それらが身体や心臓にどのような影響を与えるかを理解することが重要です。
睡眠時無呼吸には主に 3 つの種類があります。
最も一般的な睡眠時無呼吸である OSA は、米国では増加傾向にあり、2050 年までに30〜69 歳の成人のおよそ 46% が OSA を発症すると予測されています。特に女性で増加が著しく、女性の 女性におけるOSAの割合 は 2025 年までに 65% 上昇し、男性よりも速いペースで増加すると予測されています ⁵ 。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)で呼吸が中断されると、次のようなかたちで心臓機能に影響する可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群の症状は、心不全など他の疾患の症状に似ていることもあります。OSA がある人が、関連した症状として胸痛や動悸などを訴えたという事例も報告されています¹¹。
また、就寝中の胸の痛みは胃酸逆流などによって起こることもあります。睡眠時無呼吸、胃食道逆流症(GERD)、心疾患の症状には共通するものもあります ⁵ 。 そのため、睡眠検査や循環器専門医の受診など、包括的な評価が必要になります。
胸の痛みがある場合は決して無視せず、必ず医師に相談して、その原因について理解し、適切な対処をすることが大切です。
未治療の睡眠時無呼吸は、次のような心臓関連疾患のリスクを高める可能性があることが明らかになっています。
これらの疾患は併発することも多いため、睡眠時無呼吸があり、心臓関連の新たな症状に気づいた場合は、医師に相談することが重要です。
スクリーニングツールを用いることで、本格的な睡眠検査などを行う前に、その人に睡眠時無呼吸症候群のリスクがあるかどうかを判断できます。すでに高血圧や心不全などの状態がある場合、睡眠時無呼吸のリスクは高まります ¹ 。 高リスクと判断された場合、医師は次のような睡眠時無呼吸の徴候について質問したり、考慮したりします。
睡眠時無呼吸の症状は他の心疾患と重なることもあるため、心臓の問題がある人は睡眠時無呼吸が見逃されることもあります ¹³ 。 そのため、スクリーニングは特に重要です。
睡眠検査は、睡眠中の状態に関する情報を記録するもので、睡眠時無呼吸の診断に役立ちます。医師の指示により行う睡眠検査には 2 種類あります。
医師は睡眠検査のデータを分析して、睡眠時無呼吸の有無を判断し、その状態が睡眠、心臓やその他の身体機能にどう影響しているかを調べます。
その際の指標となるものの一つが、無呼吸低呼吸指数(AHI)です。AHI は、1 時間あたりに無呼吸(10 秒以上呼吸が止まること)または低呼吸(気道の部分的な閉塞による浅い呼吸)が起こった回数で、これが 5 を超える場合は異常とみなされます ¹²。
また、睡眠中の血中酸素濃度 の低下幅、深い睡眠と浅い睡眠のバランス、夜中に目覚める頻度も考慮されます。
すでに心疾患がある人や心臓の問題が疑われる人に対しては、全体的な健康状態をより詳しく把握するために、睡眠検査と同時または別途に心臓検査を行うことがあります。例えば、次のような検査です ¹⁵。
診断された睡眠時無呼吸の治療は、睡眠に関連する呼吸の乱れの管理に役立つ場合があります。以下では、診断された睡眠時無呼吸に対して医師が検討する可能性のある治療選択肢に関する一般情報を紹介します。
持続陽圧呼吸療法(CPAP)は、睡眠中に装着するマスクを通じて、鼻や口に加圧された空気を継続的に送る治療法です。 CPAP療法は、OSAと診断された方の睡眠中に気道が開いた状態を保つことを目的とした治療法です。
複雑なタイプの睡眠時無呼吸のある人には、 二相性陽圧呼吸(バイレベルPAP) や 適応補助換気(ASV) など、他のタイプの装置を使った治療法が採用されることもあります。自分に合った治療法を見つけ、快適に使用できるよう、担当医と相談しましょう。
すでに心疾患の診断を受けている人は、CPAP を含め、新しい治療を始める際に特別な注意が必要な場合があります。心疾患のある人でも睡眠時無呼吸の治療は安全に実施でき、有益である場合がありますが、まずは必ず医師と相談してください。医師は、次のような追加措置を取ることがあります。
CPAP は非常に有効であり、睡眠時無呼吸の治療で最も一般的に使用され、よく理解されている方法です ¹⁷。 OSAの管理と長期的な健康アウトカムとの間に関連性を報告した研究もありますが、これらの知見は、特定の治療法が寿命を延ばすという主張として解釈されるべきではありません。別の治療法を希望される方には、以下のような選択肢もあります。
睡眠時無呼吸の治療分野の研究は現在も続いており、睡眠の質を支える新しい装置が将来的に登場する可能性もあります。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のある人の約 30% は 肥満であることがある研究では示されています。 ²²。 体重を減らすことで OSA 症状が緩和することもあり、治療計画の一部として減量が医師から勧められることがあります ²³。 ただし、体重は睡眠時無呼吸の多くの危険因子のうちのひとつにすぎません。
肥満ではなかったとしても、睡眠時無呼吸があり、特に心臓の問題が気になる場合には、リスクを下げ、心臓の健康維持につながる生活習慣の改善について医師にについて意識することが役立つと考えます。 改善方法としては次のようなものがあります。
心臓の薬の中には、睡眠時無呼吸に影響を与えるものもあります ¹⁹。 同様に、一部の睡眠薬は心臓の健康に影響を及ぼす可能性があります。医療提供者は、特に複数の疾患を併発している人を治療する際に、処方する薬のバランスを取るよう努めます。何らかの持病があって薬を服用している場合は、用法・用量を自分の判断で調整しないでください。気になる点や、さまざまな治療法が互いに影響しているのではないかと感じることがあったら、医師に相談してください。
睡眠時無呼吸と心疾患のように複数の健康問題がある場合、複数の医師と関わる必要があるかもしれません ²⁰。 心血管の健康を専門とする医師が睡眠障害治療の専門家とは限らず、その逆もまた同様です。複数の健康問題がある人は、次のような医師と関わる可能性があります。
栄養士などの専門職も、生活習慣の改善を支援できることがあります心臓や血管の健康 。
連携の取れたチームからサポートを受けることで、治療による心臓全体の健康と睡眠の質の向上が実現しやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群と心臓の健康に関する研究は現在も続いており、新しい技術の登場によって診断や管理がより容易になる可能性があります。
こうした新しい治療法は、まだ広く利用できなかったり、十分な効果が確認できていなかったりしますが、将来的にその恩恵を受けるためにも、医師と話し合うことが重要です。 睡眠や心臓に関する心配事を医師に相談すれば、自分に合った治療について、より深く話し合うきっかけになります。
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神経刺激療法や新たな薬剤などの新しい治療アプローチは、引き続き評価が行われています。これらの利用可能性、安全性、および有効性は、該当する規制当局の承認および臨床的エビデンスに基づいて評価されるべきです。睡眠や心臓に関する心配事を医師に相談すれば、自分に合った治療について、より深く話し合うきっかけになります。