Sleepspot JP
Back to Sleep Blog

9月 04, 2026

睡眠時無呼吸症候群で重要な指標「AHI」とは?

スリープヘルス 睡眠時無呼吸症候群
High angle shot of young Asian woman texting on her smartphone while lying on bed relaxing High angle shot of young Asian woman texting on her smartphone while lying on bed relaxing

睡眠時無呼吸症候群の重症度が分かるAHIとは?

概要

  • AHIは、1時間あたりに呼吸が遅くなったり停止したりする回数を示す指標で、睡眠時無呼吸症候群の重症度を判断する上で重要な指標です¹ ²。
  • AHIが5未
  • 満は正常とされ、5~15は軽度、15~30は中等度、30以上は重度の睡眠時無呼吸症候群を示します。
  • 医師はAHIだけでなく、血中酸素レベル、症状、全身の健康状態なども総合的に考慮して治療計画を立てます。
  • CPAP療法、口腔内装置、生活習慣の改善は、診断されたOSAの管理の一環として医師が検討する選択肢の例です。¹⁶ ¹⁸ ²²

睡眠検査では、睡眠中の体に何が起きているのかを調べます。検査結果に含まれる重要な指標の一つが無呼吸低呼吸指数(AHI)で、その数値は0から30以上まで幅があります。

AHIは、1時間あたりに呼吸が中断される平均回数を示し、睡眠時無呼吸症候群とその重症度の診断に使われます。本記事では、AHIの意味と、医師がどのように治療方針の判断に用いるのかを解説します ²³。

AHIと睡眠時無呼吸症候群を理解する

AHIは睡眠時無呼吸症候群の診断に用いられる指標の一つですが、唯一の判断材料ではありません。睡眠専門医は、血中酸素レベル、症状、全体的な健康状態もあわせて評価します ²³。

AHIとは?

AHIとは、睡眠検査中に1時間あたり発生する無呼吸と低呼吸の平均回数を指します。無呼吸とは、10秒以上にわたり呼吸が完全に停止する状態です。上気道が完全に閉塞し、肺へ空気が届かなくなります。一方の低呼吸とは、10秒以上にわたり呼吸が浅くなる状態です。気道が部分的に閉塞することで起こります。

スタンフォード大学の研究者で、睡眠時無呼吸症候群研究の権威であるクリスチャン・ギルミノー医師の研究チームは1970年代後半、睡眠時無呼吸症候群とその重症度を診断するために「無呼吸指数(AI)」を考案しました。

AIは、1時間あたりに起こる完全な呼吸停止の回数を数える指標でした ¹。 その後、無呼吸だけでなく低呼吸も重要視され始めたことから、これら二つを含めた「無呼吸低呼吸指数(AHI)」が使用されるようになりました

AHIと睡眠時無呼吸症候群のタイプとの関係

AHIが5以上、つまり10秒以上の無呼吸あるいは低呼吸が1時間で5回以上ある場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます³ 。睡眠時無呼吸症候群にはいくつかのタイプがあり、呼吸が止まる原因によって分類されます。最も一般的なのが閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)で、睡眠中に上気道が繰り返し塞がれることで起こります。この閉塞により、肺への空気の流れが減少、または完全に止まります。

中枢型睡眠時無呼吸症候群(CSA)は比較的まれで、脳から呼吸を制御する筋肉へ適切な指令が送られないことで発生します。気道が物理的に塞がれるのではなく、体が「呼吸することを忘れる」ことによって、多くの呼吸停止が起こります ⁴。

混合型(複合型)睡眠時無呼吸症候群は、気道の閉塞と呼吸運動の停止の両方が原因となり、呼吸が止まる状態です。

睡眠時無呼吸症候群の重症度分類表

AHIは、睡眠中に呼吸が停止したり浅くなったりした回数(無呼吸と低呼吸の合計)を、睡眠時間で割って算出されます。睡眠1時間あたりに起こる無呼吸と低呼吸の平均回数を示し、睡眠時無呼吸症候群の重症度を判断するために用いられます。

睡眠時無呼吸症候群の重症度

AHI(1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数)

なし/ごく軽度

5未満

軽度

5~15

中等度

15~30

重度

30以上

これらの重症度区分は、成人のみに適用されます。小児では通常、 AHIが1.5未満であれば正常と考えられています ⁵。

また、この重症度分類は男女ともに適用されますが、女性は男性よりAHIが低く、呼吸停止の時間も短い傾向があることがこれまでの研究で示されています。 この違いにより、女性では睡眠時無呼吸症候群が見逃されたり、診断が遅れたりする可能性が高まります。

AHIの読み方

睡眠時無呼吸症候群の検査結果を正しく理解するためには、AHIなどの指標がどのように測定・算出されるのかを知ることが重要です。

睡眠検査でのAHI測定方法

睡眠検査は、一晩かけて睡眠障害の有無を調べる非侵襲的(体を傷つけない)検査です。睡眠時無呼吸症候群の診断だけでなく、さまざまな情報を収集することで、健康状態をより包括的に把握する手助けとなります。

医療機関で行う検査は終夜睡眠ポリソムノグラフィー検査(PSG)と呼ばれ、脳波、血中酸素レベル、心拍数、呼吸数、眼球運動、脚の動きなどを記録し、睡眠障害の診断に用いられます。病歴が複雑な場合や、より詳細な睡眠モニタリングが必要と考えられる場合、この検査方法が勧められることがあります。

PSGは通常、専門施設に入院して実施され、訓練を受けた技師が睡眠状態を監視します ⁷。

一方、在宅睡眠検査(HST)は、慣れた自宅のベッドで行うことができます。自宅で睡眠中のデータが収集され、その情報が医師に送信されます。睡眠検査の約60~70%は在宅で実施されています ⁸ 。

HSTは、中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群を約90%の精度で診断できるとされています ⁹。 睡眠障害の症状があるものの、他の慢性疾患がない場合、在宅検査が勧められることがあります。

AHI以外の補助的な指標

睡眠検査は、睡眠障害の診断だけでなく、身体の状態をより深く理解するためにも役立ちます。検査結果には、AHI以外にも次のような指標が含まれることがあります。

AHIの検査結果を理解する

AHIは、睡眠時無呼吸症候群の重症度を分類するうえで役立つ指標ですが、診断や治療の判断は必ず医師が行うべきです。

AHIには限界もあります¹³。 AHIで分かるのは、無呼吸や低呼吸が起こった回数であり、それぞれの持続時間、心拍数や血中酸素レベルへの影響、覚醒の強さまでは把握できません。睡眠段階や寝姿勢によって数値が変動することもあります。

医師は全体像を踏まえた上で、次にどのようなステップをとるべきかを判断します。AHIに加えて、以下の要素が考慮されます。

治療と経過観察でのAHI活用

睡眠時無呼吸症候群の重症度分類は、医師が治療計画を立て、その効果を評価し、必要に応じて治療方針を調整する際に役立ちます。

AHIを治療選択に活用する

睡眠時無呼吸症候群の治療法は、AHIを含む複数の要因をもとに検討されます。一般的には、次のような選択肢があります。

睡眠時無呼吸症候群の治療は一人ひとり異なり、医師が個々の状況に応じて最適な治療法を判断します。軽度のOSAであっても、基礎疾患がある場合や、日常生活に支障をきたす症状がある場合には、適切な対応が重要です。

また、AHIは治療費の保険適用可否を判断する際の指標にもなります。

治療がAHIに与える影響

睡眠時無呼吸症候群の治療は、AHIをより健康的な水準まで下げることを目的としています。治療でどれほどの効果が得られるかは人それぞれ異なりますが、一般的には次のような傾向が示されています。

治療効果の評価に使われるAHI


CPAP療法の開始時には、医師が患者さんの睡眠検査の結果と臨床的判断に基づいて圧力設定を決定します。

最新のCPAP機器はデータを収集して送信する機能があるため、医師は遠隔で治療効果を確認できます。AHIが下がらない場合、より良い効果を得るために圧力設定を調整することがあります。機種によっては、呼吸パターンに応じて自動的に圧力を調整する機能もあります。

た医師は、総合的な臨床像を評価する際に、朝の頭痛、いびき、日中の覚醒度、昼寝の頻度などの症状の変化を確認することがあります。処方された治療計画へのアドヒアランスは、主治医が臨床的経過を評価する際の考慮事項となることがあります。

AHIを解釈する際の注意点

AHIの解釈には、年齢を含むさまざまな要因が影響します。たとえば小児では、成人よりも低いAHI水準で重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)と判断されることがあります。

一般的に、AHIは加齢とともに上昇する傾向がありますが、高齢者では症状が正確に申告されない場合もあります。その結果、65歳以上ではOSAが見逃される可能性が高まります ²⁰。 また、高齢者は心疾患のリスクも高く、これが治療方針に影響することがあります。

体重管理は、過体重や肥満のある人にとってOSA治療の重要な要素となる場合があります。減量によってAHIが改善することもありますが、²¹ 体重管理だけでOSAが治るわけではありません。多くの場合、CPAPなどの治療と組み合わせることで、より良い結果が得られます。

AHIや、それが健康にとって何を意味するのかについて疑問に思ったら、医師に相談しましょう。

参考引用
2

Malhotra, A. et al. Metrics of sleep apnea severity: beyond the apnea-hypopnea index. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8271129/ 

3

 Sleep Apnea - What Is Sleep Apnea? NHLBI, NIH. https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea  

4

 Central sleep apnea. National Library of Medicine. (updated 2023). https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK578199/ 

5

 Solano-Perez, E. et al. Diagnosis and Treatment of Sleep Apnea in Children: A Future Perspective Is Needed. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10296156/ 

6

 Wimms, A. et al., (2016). BioMed Research International. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27699167/ 

7

 Kapur et al. J Clin Sleep Med. 2017 Mar 15;13(3):479-504. 

9

 Zancanella, E. et al. (2021). Sleep and Breathing, 26(1), 117–123 

10

 Sharma, P. et al., (2024). Sleep Science and Practice. https://sleep.biomedcentral.com/articles/10.1186/s41606-024-00102-x#Abs1 

11

 Menon, A. et al., (2013). Otolaryngology. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3817704/#sec1 

12

 Wojciech, K. (2022). Diagnostics. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9139663/  

13

 Won, C. (2020). When will we ditch the AHI? Journal of Clinical Sleep Medicine. https://jcsm.aasm.org/doi/10.5664/jcsm.8594 

14

 Won, C. (2020). The AHI: not all that it’s cracked up to be . Journal of Clinical Sleep Medicine. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8034221/  

15

 Patil, SP et al., (2019). Journal of Clinical Sleep Medicine. https://jcsm.aasm.org/doi/10.5664/jcsm.7640 

16

 Patel, S. et al. Continuous positive airway pressure therapy for treating sleepiness in a diverse population with obstructive sleep apnea: results of a meta-analysis. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12622603/  

17

 Skalna, M. et al., (2019). Medical Science Monitor. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6346846/#abstract1  

18

 Dieltjens, M. and Vanderveken, O. Oral Appliances in Obstructive Sleep Apnea. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6956298/ 

19

 Gao, Y. et al., (2025). Frontiers in Medicine. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11830591/#abstract1 

20

 Ernst, G. et al., (2019). Sleep Science. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6932834/#abstract1 

21

 Malholtra, A. et al., (2025). Sleep Medicine. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11330732/#S17  

22

 Kaleelullah, R and Nagarajan, P. Cultivating Lifestyle Transformations in Obstructive Sleep Apnea. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7920220/  

レスメドのメールマガジンを 購読しませんか?

みなさまが快適な毎日を過ごせるような睡眠・生活改善の情報をお届けします。この機会にご登録をしませんか?

The first name field is required
The last name field is required
The email address field is required
Please fill valid email address.
Please tick the checkbox to proceed

Thank you for submitting the form.