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12月 17, 2025

睡眠時無呼吸症候群とは?

スリープヘルス 睡眠時無呼吸 検査・受診・CPAP治療
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睡眠時無呼吸症候群とは? 

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が一時的に止まったり(無呼吸)、浅くなったり(低呼吸)する状態を指します¹。この状態が続くと、体が十分な酸素を取り込めず、自然な睡眠サイクルが妨げられます。 
睡眠時無呼吸症候群は、健康や生活の質に影響を与える可能性のある深刻な病気です。自分にその兆候やリスクがあるかどうか、そして診断や治療を受けるにはどうすればいいかを知っておくことが大切です。
 

睡眠時無呼吸症候群の定義と意味 

睡眠時無呼吸症候群とは、気道の筋肉が収縮し、一時的に酸素の供給が途絶えることで睡眠が中断される症状です。その結果、呼吸を再開するために夜間に何度も目が覚めてしまいます。 
中には、8時間の睡眠中に240回以上呼吸が止まり、目を覚ます人もいます¹。睡眠が不足することで日中に強い疲労感や無気力感に襲われ、眠気覚ましのカフェイン飲料が欲しくなったりします。
 

睡眠時無呼吸症候群の種類 

睡眠時無呼吸症候群は総称であり、実際にはいくつかの異なるタイプがあります。 
・閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA) 
・中枢型睡眠時無呼吸症候群(CSA) 
・混合型(または複合型)睡眠時無呼吸症候群(TECSA) 
医師と相談することで、睡眠に関する悩みや睡眠時無呼吸症候群のタイプに応じた最適な治療方法を見つけられます。
 

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA) 

最も一般的なタイプで、世界で10億人近くが罹患しているといわれています²。のどの筋肉が緩んで気道が狭くなり、肺に入る空気の量が制限されることで起こります。 
このような状態になると、脳は体に対して目を覚まして呼吸をするように信号を送ります。これが夜間に何度も繰り返されます。
 

中枢型睡眠時無呼吸症候群(CSA)³ 

比較的まれなタイプで、脳が呼吸を制御する筋肉に信号を送らなくなり、睡眠中に呼吸が一時的に止まることで起こります。 

混合型睡眠時無呼吸症候群³ 

治療時出現中枢性睡眠時無呼吸症候群(TECSA)とも呼ばれるこのタイプは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療初期に現れる中枢型睡眠時無呼吸の一種です。多くの場合、追加の治療を行わなくても自然に改善します。

睡眠時無呼吸症候群の症状¹ 

よく眠れない夜は誰にでも時折あるものです。しかし、慢性的な病気である睡眠時無呼吸症候群では、睡眠の中断が続くことで、より深刻な影響が生じます。 
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、仕事、人間関係、そして日々の意欲など、生活のさまざまな面に影響を及ぼす可能性があります。

いびき 

いびきは、睡眠時無呼吸症候群でよく見られる症状の一つです。首の筋肉が緩んでのどが狭くなると、振動音が生じていびきとなります。

息苦しさで目が覚める 

呼吸が制限されると、脳が体に対して目を覚まして息を吸うように促す信号を送ります。これにより、はっと目が覚めて苦しそうに息を吸い込むことがあります。

日中の集中力低下 

質の良い睡眠が十分とれないと、体の自然な概日リズム(サーカディアンリズム)が乱れ、認知機能に影響を与えることがあります。これは、日常生活で注意力、判断力、記憶力が必要となる場面にも影響を及ぼす可能性があります。 

日中の持続的な疲労感 

睡眠時無呼吸症候群の人は、日中も常に寝ぼけているような感覚に襲われることがあります。睡眠は体が休息し回復するための大切な時間です。睡眠サイクルの重要な段階が阻害されることで、疲れがなかなか抜けない状態になります。 

朝の頭痛 

睡眠中に呼吸が何度も途切れると、血中の酸素濃度が低下し、頭痛とともに目覚めることがあります。たとえ長く続かなかったとしても、寝起きの頭痛は睡眠時無呼吸症候群の兆候である可能性があります。 

睡眠が続かない 

睡眠時無呼吸症候群は不眠の悪循環につながることがあります。無呼吸で目が覚めて、よく眠れないことが不安になり、その不安がさらなる不眠につながってしまいます。

起床時の口の乾き 

気道が塞がれると、いびきや、口を開けた呼吸につながることがあります。これにより、朝起きたときに口の中が乾いていることがあります。 

イライラや気分の変動 

質の良い睡眠がとれないと、疲れやイライラを感じやすくなり、普段なら難なくこなせることも負担に感じて、情緒が不安定になることがあります。睡眠時無呼吸症候群と気分障害は強く関連していると指摘されており、睡眠時無呼吸症候群の人の35%に抑うつ症状があるともいわれています⁴。 

睡眠時無呼吸症候群の原因 

睡眠時無呼吸症候群の原因は、そのタイプによって異なります。自分の無呼吸の原因を理解することで、症状への対処や、より効果的な治療につなげることができます。中には避けられないものや遺伝的な要因もありますが、生活習慣の改善によってリスクを減らせる場合もあります。 

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の原因 

飲酒、喫煙、麻薬性薬剤の使用、過体重などが挙げられます。その他にも、年齢、性別、アレルギー、気道が狭いこと、扁桃腺やアデノイドの肥大、あごが後退していること、鼻中隔湾曲なども関係する場合があります。 

中枢型睡眠時無呼吸症候群の原因 

高地での生活、麻薬性薬剤の使用、心不全や脳卒中といった基礎疾患などが考えられます。 

混合型睡眠時無呼吸症候群の原因 

混合型睡眠時無呼吸症候群(治療時出現睡眠時無呼吸症候群)の原因はまだ十分に解明されていませんが、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療中にごく一部の人が発症することがあります。 

睡眠時無呼吸症候群のリスク要因 

リスクが高いグループとしては、いびきをかく人、中高年、他の持病がある人、男性などが挙げられますが、年齢、人種、性別、体型に関係なく誰にでも起こる可能性があります。 
それでも一般的なリスク要因を理解しておけば、医師と睡眠時無呼吸症候群について話し合う際の参考になるでしょう。
 

肥満 

体重は、睡眠時無呼吸症候群の主な要因の一つです。過体重や肥満体の人は、上気道の脂肪が多く、気道が狭まって呼吸が妨げられることがあります。 

性別 

睡眠時無呼吸症候群は、女性よりも男性に多く見られます。中等度から重度の睡眠関連呼吸障害の有病率は、女性で23.4%、男性で49.7%とされています⁵。ただし、女性も妊娠中や閉経後には発症しやすくなる傾向があります。 

年齢 

加齢に伴い、のどの筋肉をコントロールする脳の働きは自然に弱まります。40歳を過ぎると閉塞性睡眠時無呼吸症候群を発症する可能性が高くなります。 

首の太さ 

首まわりに余分な脂肪がつくと、横になったときに気道が狭まりやすくなります。男性では首まわりが43センチ以上、女性では40センチ以上の場合、睡眠時無呼吸症候群を発症するリスクが高まるとされています6。 

喫煙と飲酒 

喫煙は呼吸器系に影響を与え、上気道の炎症や狭窄を引き起こすことがあります。またアルコールは呼吸を遅くし、のどの筋肉を過度に緩めてしまうことがあります。喫煙や飲酒の習慣は、睡眠時無呼吸症候群の原因になったり、その症状を悪化させたりすることがあります。 

睡眠時無呼吸症候群の長期的な影響 

睡眠時無呼吸症候群は短期的には不快に感じるだけであっても、長期的には命に関わる可能性があります。放置すると、心疾患、脳卒中、高血圧、さらには認知機能の低下につながる恐れがあります。 

また、体が必要とする休息が得られないことで、臓器の働きや気分、日中のエネルギーレベルが低下することがあります。早期の発見、診断、治療によって、これらの長期的なリスクを回避できるかもしれません²。 

睡眠時無呼吸症候群の診断方法 

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医師に相談すると、現在の症状に基づいて睡眠の専門医を紹介される場合もあります。症状について早めに医師に相談し、睡眠検査が必要かどうかを判断してもらうことが大切です。 

医師が勧める睡眠検査には、主に2つのタイプがあります。 

在宅睡眠検査(HST): 
睡眠障害の症状があり、他の慢性疾患の診断を受けていない場合には、在宅睡眠検査が勧められることがあります。自宅のベッドで行えるため、検査までの待ち時間を短縮できるという利点があります7。 

入院での終夜睡眠ポリソムノグラフィー検査(PSG): 
より複雑な病歴がある場合や、詳細な睡眠モニタリングが必要と判断された場合には、PSGが勧められることがあります。通常、睡眠検査室で一晩かけて行われ、専門の技師が睡眠の状態を観察・記録します7。 

以下は、睡眠時無呼吸症候群の診断に至るまでの一般的な流れです。 

1. 医師の診察 

まずは医師の診察を受け、現在の症状や、それが睡眠時無呼吸症候群の一般的なリスク要因や原因とどのように関係しているかについて相談します。医師は、あなたの症状と健康状態全般を考慮した上で、睡眠の専門医を受診すべきかどうかを判断します。 

2. 睡眠専門医の受診 

睡眠の専門医を紹介された場合は、睡眠パターン、現在の症状、過去の健康状態について、より詳しい診察が行われます。睡眠専門医は、精密検査が必要かどうかを判断します。 

3. 睡眠時無呼吸症候群の検査 

正式な検査は、自宅または睡眠検査センターで行うことができます。検査は一晩を通して行われ、睡眠中の呼吸や血中酸素濃度、心拍数などの体の働きをモニタリングします。 

4. 検査結果の確認 

検査結果には呼吸パターン、腕や脚の動き、血中酸素濃度、心拍数、そして全体的な空気の流れの測定値が含まれます。睡眠時無呼吸症候群と直接関係する重要な指標として「無呼吸低呼吸指数(AHI)」も算出されます。 

AHI は、睡眠中に呼吸が極端に浅くなる(低呼吸)または完全に止まる(無呼吸)回数を1時間あたりの数で示し、睡眠時無呼吸症候群の重症度を測定する指標です。 

AHIの基準値6 
5未満 正常 
5〜14 軽度の睡眠時無呼吸症候群 
15〜29 中等度の睡眠時無呼吸症候群 
30以上 重度の睡眠時無呼吸症候群 

睡眠時無呼吸症候群の治療方法 

睡眠時無呼吸症候群と正式に診断された場合、医療機関からあなたの症状やタイプに合わせた治療法について説明があります。治療のオプションとしては、生活習慣の見直し、睡眠補助装置の使用、薬の処方、外科的治療などがあります。 

治療に伴う生活習慣の変化に慣れるには少し時間がかかるかもしれませんが、治療を続けることで睡眠の質が向上し、生活の質の改善にもつながる可能性があります。 

CPAP療法 

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持続陽圧呼吸療法(CPAP)は、最も広く用いられている治療法で、高い有効性が確認されています8。鼻や口にマスクを装着して、空気を送り込む方法です。 

空気を気道に継続的に送ることで、睡眠中の呼吸停止や低呼吸を防ぐ仕組みです。夜間の呼吸をサポートすることで、しっかりと休息を取り朝すっきりと目覚められるようになります。 

その他の陽圧呼吸療法装置 

CPAPに慣れるのが難しい場合には、自動調整式陽圧呼吸療法(APAP)と呼ばれる治療法もあります。個々の呼吸状態に合わせ、送る空気の量を自動的に調整し、必要なときに必要なだけの圧力を供給するものです。 

また、CPAPの一種であるバイレベルPAP装置は、息を吸う時と吐く時で異なる圧力を送ることができます。 

生活習慣の改善 

睡眠時無呼吸症候群の有無にかかわらず、生活習慣の改善にはメリットがあります。睡眠時無呼吸症候群の症状を改善するための策として、体重を減らす、酒を控える、喫煙をやめるといったアドバイスが医師からある場合もあります。 

口腔内装置治療 

CPAP療法は、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群の治療で最も一般的な方法ですが、代替手段として口腔内装置治療が行われる場合もあります。 
口腔内装置は下顎前方移動装置(MRD)とも呼ばれ、睡眠中に下あごを前方に保持することで、舌の後ろのスペースを広げ、のどの壁に張力をかけて気道を開き、軟口蓋の振動を軽減する効果があります。
 

薬の調整 

医師の診察の際には、使用している薬が睡眠時無呼吸症候群の原因となっていないかを確認することがあります。抗ヒスタミン薬、オピオイド系鎮痛薬、ベンゾジアゼピン系抗不安薬などは、気道を緩めて狭くする作用があり、睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させることがあります。 

鼻炎治療 

アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻づまりがある場合、鼻の血管の腫れを抑えて気道を広げるために、鼻詰まりの薬が処方されることがあります。 
この治療は「舌下神経電気刺激療法(HGNS)」や「上気道刺激療法(UAS)」とも呼ばれます。 

HGNS(またはUAS)は、CPAP療法や口腔内装置治療で十分な効果が得られなかった中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群の人に対して行われます。 

外科的治療 

睡眠時無呼吸症候群の治療における第一の選択肢として手術が行われることは通常ありませんが、外科的治療法はいくつか存在します。 
口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)10 は、米国で閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療として最も一般的に行われている手術です。のどの余分な組織を取り除き、上気道を広げることで呼吸を改善します。 

あまり一般的ではない外科的治療法としては、鼻中隔の湾曲を矯正する手術、あごの位置を調整する手術、扁桃腺やアデノイドを取り除く手術、高周波を用いて上気道の組織を収縮させるソムノプラスティなどもあります。 

睡眠時無呼吸症候群と診断されたら 

自分や家族が睡眠時無呼吸症候群と診断されたとしても、症状を軽減し、生活の質を向上させることは可能です。食事や運動などを通じて新しい治療法を始める際には、必ず医師に相談しましょう。 

医師に相談する 

提案された治療について不安や疑問がある場合は、定期的に担当医と話し合いましょう。治療の経過や、感じている問題を共有することが大切です。 

CPAP療法を継続する 

CPAP療法は、慣れるまでには時間がかかることもありますが、継続して使用することで症状改善が期待できます。 

健康的な体重を維持する 

適切な体重を維持することで、気道への圧力をやわらげ、より快適な睡眠を促して、睡眠時無呼吸症候群の症状の改善につながる可能性があります。 

飲酒を控える 

アルコールは睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させる恐れがあります。就寝前の飲酒は基本的に避け、飲む場合も量は控えめにするとよいでしょう。 

禁煙する 

喫煙は上気道の炎症や狭窄を引き起こすことがあります。禁煙は、睡眠の質と健康全般の改善につながります。 

アレルギーを治療する 

アレルギーがあると、鼻づまりや口の乾き、気道の閉塞が起こることがあります。医師に相談し、自分に合ったアレルギー治療法を見つけましょう。 

自分や家族が、睡眠の問題を抱えていたり、睡眠時無呼吸症候群かもしれないと感じたりすることはありませんか? 

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参考引用
1

Cleveland Clinic. “Sleep Apnea.” Cleveland Clinic, 2025, https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/8718-sleep-apnea 

2

American Academy of Sleep Medicine. Obstructive Sleep Apnea Indicator Report. SleepEducation.org, Mar. 2023, https://sleepeducation.org/wp-content/uploads/2023/03/obstructive-sleep-apnea-indicator-report.pdf

3

Bassetti, Claudio L., et al. “Obstructive Sleep Apnea Syndrome and Its Management.” Current Neurology and Neuroscience Reports, vol. 22, no. 11, 2022, https://doi.org/10.1007/s11910-022-01199-2

4

Benjafield, Adam V., et al. “Estimation of the Global Prevalence and Burden of Obstructive Sleep Apnea: A Literature-Based Analysis.” The Lancet Respiratory Medicine, vol. 7, no. 8, 2019, pp. 687–98, https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30453780

5

Gottlieb, Daniel J., and Susan Redline. “Epidemiology of Obstructive Sleep Apnea: A Population Health Perspective.” American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, vol. 199, no. 5, 2021, pp. 611–22, https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8143081

6

Kapur, Vishesh K., et al. “Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea.” Journal of Clinical Sleep Medicine, U.S. National Library of Medicine, 2017, https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK459252

7

Peppard, Paul E., et al. “Increased Prevalence of Sleep-Disordered Breathing in Adults.” American Journal of Epidemiology, vol. 190, no. 2, 2019, pp. 325–33, https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30803831

8

Harvard Medical School, Division of Sleep Medicine. “Sleep and Health Education Program.” Harvard Medical School Sleep Medicine, 2025, https://sleep.hms.harvard.edu/education-training/public-education/sleep-and-health-education-program/sleep-health-education-37 

9

Punjabi, Naresh M. “The Epidemiology of Adult Obstructive Sleep Apnea.” Proceedings of the American Thoracic Society, vol. 8, no. 2, 2021, pp. 136–43, https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8116425

10

Young, T., et al. “The Occurrence of Sleep-Disordered Breathing among Middle-Aged Adults.” New England Journal of Medicine, vol. 328, no. 17, 1993, pp. 1230–35, https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30056286. 

 

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