第2号【オンライン診療・対面診療が適切な場面】

本年20246月の診療報酬改定により従来のCPAP治療における診療が大幅に緩和されました。本日はオンライン診療に特化して幅広い疾患の治療に取り組まれているウチカラクリニック院長の森勇磨先生にオンライン診療の上手な使い方やCPAP治療におけるオンライン診療の特徴、留意点などを幅広くお伺いしたいと思います。また最近一部の患者さんからニーズのあるCPAP治療における自費診療についてもお伺いしたいと思います。

前号オンライン診療の流れより続く

インタビュアー

それではオンライン診療における一般的に考えられるメリットとデメリットを教えていただけますか?

森先生

まずメリットですが、よく言われる例としては利便性、アクセスのしやすさ、感染リスクの低減などが挙げられます。

オンライン診療では、自宅やオフィスから医療相談ができるので、通院の必要がなくなり時間と労力を節約できます。これは利便性ですね。また、遠隔地や地域の医療機関にアクセスしにくい人でも、オンライン診療を通じて医療サービスを利用できます。いわゆるアクセスのしやすさです。そして病院やクリニックに行かなくても診察が受けられるので、感染症のリスクを減らせます。

他方、デメリットとしては診療上の制限、身体検査の制限などが挙げられます。診療上の制限とは、一部の病気や症状は、どうしても対面での診察が必要な場合があります。オンライン診療の場合、医師が直接患者さんの状態を見ることができないため、正確な診断が難しい場合があります。また身体検査の制限ですが、医師が患者さんの身体に直接触れられないことによる制限があります。また同様に診断機器を用いての検査にも制限があります。

ところで以前はインターネット接続や通信機器に問題があるとオンライン診療がスムーズに進まない、という技術的な問題がありました。また対面による医師とのコミュニケーションではないため、人によっては信頼関係や理解が不十分になるというコミュニケーション上での問題も論じられてきたのですが、技術進歩のおかげもあってこの問題はある程度まで解消されつつあります。

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インタビュアー

今のお話からオンライン診療に適している状況と対面診療に適している状況というものあがりそうですね?

森先生

一概にこれはオンライン診療、あれは対面診療というような区別は難しいため、まずは対面診療が選択肢として考慮される具体的ケースをご説明した方が良いかもしれません。

対面診療が選択されるべき具体的なケースは、1つは容態の急変や処置が必要な場合です。急な体調の変化や外傷により処置が必要とされる緊急の症状や怪我を抱えた患者さんにとっては、直ちに医師と対面して精密検査・診断・治療を受けることは大変重要です。このようなケースでは、対面診療が重篤な合併症のリスクを最小限に抑えるための適切な方法と言えます。2つ目は、身体検査が必要な場合です。先ほども触れましたが、例えば、X線やMRIなどの画像検査や、血液検査などの身体的な評価が必要な場合、対面診療が適しています。これらの検査は通常、医師が患者さんを直接診察して行われることが一般的だからです。3つ目は、継続的治療が必要な疾患で、患者さんの経過を定期的にフォローアップする必要がある場合です。例えば、慢性疾患やリハビリテーションプログラムを受けている患者さんに対して、定期的な対面診療が考慮されるべきです。しかしながら、これらのケースでも対面診療が適切な治療オプションではありますが、患者さんの状況や治療ステージに応じて、オンライン診療やリモートモニタリング*2などの選択肢も検討できます。

これらは一例であり、もちろんすべての状況をカバーはしていませんが、対面診療の基本的な考え方や位置づけを理解する上では手掛かりになると思います。

ちなみに、対面診療は必ずしも病院やクリニックに来院することだけではなく、動けない患者さんについては訪問診療・往診という方法もあります。

インタビュアー

なるほど。対面診療が考慮される疾患でも患者さんの状況や治療ステージに応じて、オンライン診療やリモートモニタリングなども検討できるわけですね。では、このような観点でオンライン診療に適していると思われるのは一般的にはどのようなものかを教えていただけますか?

森先生

例えばオンライン診療では軽度の風邪やインフルエンザの場合、症状を医師に相談し、適切な処置や薬の処方箋を受け取ることができますし、花粉症や鼻炎などのアレルギー症状がある場合も同様です。また、かゆみや湿疹などの皮膚トラブルがある場合でも、写真を提供して医師に相談し、適切な治療法や処方箋を受け取ることもできますし、制限はあるものの精神的健康の問題に関する相談やカウンセリングを受けることもできる場合も存在します。そして糖尿病や高血圧、睡眠時無呼吸症候群などの慢性疾患の管理やフォローアップが必要な場合には定期的にオンライン診療を通じて医師と相談し、病状の管理や処方箋の更新を行うこともできます。これは先ほど対面診療のところで触れた患者さんの治療状況に応じて、オンライン診療やリモートモニタリングなどの選択肢を検討できる部分です。

ただし、症状の重症度や緊急性が高い場合には、対面診療が必要になることがあります。つまり対面診療とオンライン診療はそれぞれお互いが対立する関係ではなくて補完する関係にあるといえます。利用される患者さんにとってもこのような特徴をご理解されたうえで上手に活用していただくことが重要だと考えます。

次号オンライン診療と睡眠時無呼吸症候群に続く

5D3L3537f森 勇磨 (もり ゆうま)先生

内科医/産業医/労働衛生コンサルタント

ウチカラクリニック代表

Preventive Room株式会社代表

予防医学ch/医師監修 管理人

*2 リモートモニタリング:CPAP治療におけるリモートモニタリングは、携帯電話回線を利用することで患者さんのCPAP装置から治療状況を遠隔で管理し、治療の効果や機器の使用状況をリアルタイムで把握するためのシステムです。これにより、医療提供者は患者さんの治療状況を継続的に追跡し、必要な調整を迅速に行うことができます。

 

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※「レスメドおはようコーチ」は、睡眠の健康についてのトレーニングを受けた販売・カスタマーサービス担当者です。睡眠の健康、睡眠障害、睡眠の改善に役立つ製品等、睡眠に関する一般的な情報を提供できますが、資格を持つ医療専門家ではないため、医学的なアドバイスを提供することはできません。何らかの症状や懸念事項がある場合には、ご自身のご判断で、引き続き医師にご相談されてもよいかもしれません。

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