座談会 CPAP経験者の声
睡眠時無呼吸と診断されたら、実際にはどのような治療が始まるのでしょうか?
今回、CPAP治療を経験されている3名の方、そして睡眠時無呼吸の疑いはあるもののまだ検診を受けていない方、総勢4名の方々にお集まりいただき、座談会で話し合いをしました。
診断までの経緯もCPAPの使用歴もそれぞれ異なり、大変興味深いお話を伺うことができました。
座談会参加メンバー:
インタビュアー「おはようコーチ」
Mさん(CPAP使用歴10年以上)
Sさん(CPAP使用歴約1年)
Yさん(CPAP使用歴約1年。現在は改善し使用していない)
座談会
インタビュアー: 元々、どんな睡眠のトラブルを抱えていらっしゃったのですか?
Mさん:私は家族にいびきがうるさいと指摘されていました。家族の安眠を妨げてしまっているだけでなく、自分自身のいびきの音で目覚めてしまい、睡眠時間が足りず、昼間車の運転中に眠くなることも多く、疲れやすかったです。
Sさん:私は元々、会議があるとすぐ眠くなる、電車に乗っても、運転していてもすぐ眠くなる、というのがずっと続いていました。それが睡眠時無呼吸症候群だとは、当時まったく知りませんでした。
Yさん:一番初めは家族に呼吸が止まっている、と言われました。
当時は忙しく、昼間眠くなることについては、単に寝不足のせい、とだけ認識していましたね。睡眠時無呼吸症候群という病気もあまり知られていなかったです。
インタビュアー:(睡眠時無呼吸の方は)どのような経緯で睡眠時無呼吸と診断されたのですか?
Mさん:ときどき夜中に喉が詰まった感じになり、息ができなくてのたうち回る、というのが数回続いたことがありました。それでたまたま別の持病で入院したとき、一晩装置をつける検査をした結果、睡眠時無呼吸症候群と診断されました。
Sさん:1年ちょっと前に副鼻腔炎で耳鼻科に行ったんです。そのときに「睡眠時無呼吸じゃないですか?テストを受けてみましょう」ということになりました。簡易検査を受けた結果、「1時間に40回の呼吸が止まっている、あなたは睡眠時無呼吸なのでCPAP治療をしたほうがいいです」と言われました。
Yさん:呼吸が止まっているという指摘で調べたら、睡眠時無呼吸症候群という病気があると知って、病院で検査をしたら、重度の睡眠時無呼吸症候群と診断されたのが最初ですね。2007年のことだったと思います。
インタビュアー: 皆さん、どちらでどんな検査を受けられましたか?
どのクリニックに行くか、何科に行くべきか等、迷ったりされましたか?
Mさん:大きな大学病院でした。たまたまそのときのかかりつけが大学病院だったので、そちらに行きました。検査は十何年前でよく覚えていないんですが、手に色々つけて、頭になにか脳の波長を測るバンドみたいなものをつけました。あとは眠って、気がつけば朝でしたね…。
Yさん: 私は最初耳鼻科に行って、そこで睡眠専門のクリニックがあるよ、と教えていただいて、そちらで調べてもらいました。一泊入院の検査なんですけど、顔にこう、いろいろデータをとられるセンサーをつけられて、それで寝るんですよ。夜入って、朝は普通に会社に行っていいですよ、という検査でしたね。
Sさん:私は副鼻腔炎で耳鼻科に行って、そちらで検査の予約をしました。それは簡易機械を借りて一晩つける、というもので、返却したらすぐ、「睡眠時無呼吸です」と言われました。
インタビュアー:ご自宅でテストしただけで診断に至ったのですね。
Sさん:そうです。その何回という既定値が、僕の場合にはもう上限をはるかに超えていたので「もう本当の検査はしなくていいです」と言われまして。ですから検査そのものはラクでした。
インタビュアー:診断のあとは、どんな治療を受けたのですか?
Mさん:CPAPを手配していただいた後は薬ですね。痩せるように、ということで。太っているとここ(喉)が詰まる原因になる、というので、減量を助ける薬というのを処方してもらいました。13キロぐらい痩せたのですが、それでもまだCPAPをつけないといびきが激しいです。
Yさん:私は治療の相談時に「CPAPというのがあって、それを着けて寝ると改善する」と説明を受けて、「ではそれで」ということになりましたね。
インタビュアー:治療を受けてどうでしたか?
Yさん:すごく快適というか、改善されてる改善されている、という感じがありましたね。まあ少し音がうるさいかな、というのはありましたけど、基本的には快適で、寝起きのだるさがなく、朝は快適に起きられるものなんだ、と当時驚いたのを覚えていますね。
Mさん:マスクをつけて5分もしないうちに、もうびっくりするぐらいすぐに眠りにつけるようになりました。それまではなかなか寝つけなかったのですが、CPAPをつけるとすぐに気がついたらもう朝、という状況で非常に助かっています。
逆にCPAPをしないと1時間や2時間は寝付けず、CPAPすると5分もしない内に眠れてしまいますので、それ自体が入眠儀式のようになっていますね。
インタビュアー:最初の頃はやはり慣れにくかったですか?
Mさん:私はもう初日から平気でした。気持ち悪いとか、なにか違和感があるということもなく、そのまま素直に使えていますね。
Sさん:CPAPを始めて一つの大きな変化は、夜トイレにほとんど行かなくなったことです。今までは大体毎日と言っていいほどトイレに起きていたのですが、これがまずほとんどなくなりました。それとあと血圧が改善しました。高血圧だったのですが、それが大分下がってきましたね。
インタビュアー:夜中何回くらい起きていたのですか?
Sさん:多くて二回ぐらいだと思うのですが、多分、毎晩1回は起きていましたね。今はほぼゼロで、それが非常に良かったなと思っていますね。
インタビュアー:CPAPはどれくらい続けられていますか?
Mさん:10年以上続けています。
Sさん:1年ちょっとです。
Yさん:私は2007年から1年ぐらいだったのではないかと思います。今は寝るとき、口にテープを貼って寝るようにしているのと、なるべく横を向いて寝るように気をつけています。
口を開けているといびきや無呼吸の可能性があるので、口は閉めておこうと思ってやっています。もう10年以上になるかな?
その間マウスピースをつけていた時期もありました。でもマウスピースは噛んで壊しちゃうので、そこからずっとテープを貼っています。
Sさん:僕もマウスピースを時々使っています。下顎をちょっと前に出す、噛み合わせを変えるマウスピースがあって。先生に紹介状書いてもらってかかりつけの歯科医に作ってもらいました。出張とかで困るときはそれだけ使っています。
インタビュアー:マウスピースでも効果を感じますか?
Yさん:私は全然感じませんでした。マウスピースよりテープの方がずっといいです。
Sさん:僕は全然わからないんですよ。寝てしまっているから。いびきをかいているのかいないのかわからないし、翌日の眠気とか疲労感とかも特に感じないです。
インタビュアー:CPAP治療でなにか大変なこととか躓いたことというのはありましたか?
Yさん:ちょっとサイズが大きいので、旅行等に持っていくとなると少し大変、というのはありましたけど。ただ旅行もそんなに頻繁に行くわけではないので、普段家にいる分には特に問題ないですね。
Mさん:私も最初は機械が大きくて、出張が多いと移動が大変でした。最近は出張が少なくなったので、一泊や二泊ぐらいだったらもう持っていかないですね。前は一週間、二週間というのが当たり前だったので、持って行っていました。
インタビュアー:ミニサイズがあるというのはご存知ですか?
Mさん:小さいやつですね、はい、知っています。大きいのは大変なんですよね。
海外の空港で揉めることが多かったです。
CPAPを分かっていない係官の人が「この機械は何?」となって、それで説明が必要になったりして。先生が英文で書いてくれた診断書を見せるんですが、英語が通じないところもありますので。
Sさん:ミニサイズでも持っていくのは面倒ですね。マウスピースを代わりに使用する、でいいのではないかと。
インタビュアー:お手入れは毎日されていますか? 大変と感じたりしていますか?
Yさん:そんなに手入れが大変だった記憶がないので、大変ではなかったと思います。
Mさん:大変ではないです。フィルターだけはよく交換していたんですけど、あとは普通にマスクを洗うのと、あと、チューブを水でジャバーとこう流して、それぐらいですね。ほとんどメンテナンスがいらない感じなので、あとはフィルターが詰まっていないかを見るぐらいです。それも1週間に1回ぐらい、というのが正直なところです。
インタビュアー:何か睡眠で工夫していることはありますか?
Sさん:睡眠で工夫したことはないですが、とりあえず体重を減らせば、もしかしたら外せるかもしれない、と言われているので、体重を減らしたいなと思っています。そのために僕は今、朝ランというか朝散歩をしています。あと朝は極力(朝食の)量を少なくして、ほとんどオートミールを食べています。
Mさん:疲れるのが一番だと思っています。日中活動してその上でCPAPをつけると熟睡できます。CPAP治療始められたばかりの方は、一日の活動量を増やしながら慣れていってみるといいと思います。
Yさん:何かを気をつけたら治る、という病気ではないと思っていますが、やれることはやって体質を改善する、というのは効果があるかもしれないですね。たとえば、体重落とすために運動する、食事に気をつけるというのは、よいのではないかと思います。
インタビュアー:やはり健康的な生活習慣を実践し継続する、というのが基本になりますね。
貴重な経験、ためになるお話をどうもありがとうございました。
番外編
インタビュアー「おはようコーチ」
Fさん(未診断)
インタビュアー:普段いびきをかいたりはしますか?
Fさん:はい、家族にうるさい、と言われます。昼寝のときだと自分のいびきで起きることもあります。
インタビュアー:うるさくならないために何か工夫されていますか?
Fさん:口にテープしたりとか、横向いて寝たりとか色々試してみたんですが、全く効果がないみたいです。朝になると口呼吸しているからか、どちらかの鼻が詰まっているんです。
インタビュアー:どちらか受診しようと思われたことはありますか?
Fさん:何度もあるんですが、結局その一歩が踏み出せないでいます。たとえば、新幹線とか飛行機で熟睡したいときは、絶対うるさいよね、と周りを気にしますし、大人数で大部屋で寝るときなどもとても気になります。本当にいびきがなかったらいいなと思いますが、アクションを起こせずにいます。
インタビュアー:いびき以外で、息が止まっていると言われたことは…?
Fさん:はい、あります。家族や友人に、呼吸していないから心配になる、と・・。普段眠りが浅いのか、昼寝しているとき、苦しい苦しいって自分で息を吸おうとしていることがよくあって、で、そのうちまたスゥーって寝落ちしていて、それを繰り返しているんです。苦しくなっている自覚があるから、無呼吸かもしれないですよね。夜の睡眠ではわからないんですが。
インタビュアー:クリニックに行けない一番の理由は何だと思いますか?
Fさん:なんとかなってしまっているせいだと思います。最近は昼もすごく眠いとかはなく、夜も眠れていて、寝付きもいいほうですしね。今日明日何かあるわけじゃないし・・と考えてしまい、一歩踏み出せないでいます。
インタビュアー:簡単に家でできる検査なら、やってみようと思われますか?
Fさん:思います。入院していろいろ体につけられたくなくて。あと寝ている間、他の人に迷惑がかかるのも気になりますし。
インタビュアー:もし睡眠時無呼吸だと診断されたら、治療が始まることについてはどう思いますか?
Fさん:やるとおそらく一生付き合っていかなきゃいけないという恐怖はあります。だけど、やって改善されるのだったら、その世界を見てみたいというのは常々思っています。
ただ面倒になったら、やめちゃう可能性はあるかもしれませんね・・・。僕はマウスピースを歯ぎしりで使用したことがあるんですが、最初すごくいやだったのに、慣れた後では、もうないとちょっと違和感があるぐらいになりました。
CPAPもそこまでになるといいですよね。CPAPがないともう眠れない、くらいまでになるといい付き合い方できますよね。
インタビュアー:CPAP経験者の方々のお話が少しでもお役に立っていたら、嬉しいです。
本日はお忙しいところ、どうもありがとうございました。
※上記は、実在する患者さんに対し、レスメドがインタビューを実施し、書き起こしたものです。
疾患および治療に対する個人の感想となっております。
他の方が同じ治療を受けた場合に、必ずしも同じような治療結果を得たり、感想をお持ちになることを保障するものではなく、個人差があることを予めご了承下さい。
また、患者さんの受診に関しては、レスメドが言及・関与する事は一切ありません。
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