睡眠不足(寝不足)とは、自分にとって「充分な睡眠」がとれていない状態のことです。充分な睡眠とは、「充分長く眠った時間」だけでなく「質の良い眠り」でなくてはいけません。
近年の調査では、日本人の平均睡眠時間が世界でも最も短いことがわかっています。これは長い勤務時間や通勤・通学時間、帰宅後のスマホやゲーム、動画視聴などの夜ふかしが原因と考えられています。
また最近のコロナ渦で、急な働き方の変化やステイホームの影響により、生活や睡眠のリズムが乱れている人も少なくないでしょう。子どもから中高年まで、睡眠不足の問題は深刻になってきています。
睡眠不足になると、日中の過剰な眠気、気分の落ち込み、エネルギーの低下、集中力の低下などを引き起こします。睡眠不足が慢性的に続くと、身体に不調のサインが現れ、悪化すれば様々な病気を引き起こす原因になります。
これら睡眠不足の症状を無視してはいけません。
睡眠不足でもっともわかりやすい症状の一つが、日中に感じる強い眠気です。
実際に眠り込んでしまう、睡眠中に呼吸が止まる、大きないびきをかくなどの症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因かもしれません。睡眠時無呼吸症候群を治療することで、日中の眠気や居眠りが軽減される可能性があります2。
寝不足が原因でおこる吐き気や頭痛は自律神経が関係しています。自律神経は交感神経と副交感神経の2つからできており、自身でコントロールができません。
日頃、日中に活動するために交感神経が働き、夜間にはリラックスするために副交感神経が働きます。睡眠不足でこの2つのバランスが崩れると、心身に影響が出ます。
また、睡眠に伴う頭痛にはいくつかの種類があります。
イライラするのは、睡眠不足の代表的な症状のひとつです。睡眠不足は、エネルギーレベルや気分に悪影響を及ぼし、不安や抑うつなどの気分障害を発症するリスクも高まります。
睡眠不足が原因で不機嫌になっている場合は、定期的に良い睡眠をとることで、ポジティブに物事を捉えることができるようになります。
集中力や認知能力の低下は、睡眠不足の一般的な症状です。とある研究で、睡眠不足の人に手と目を使った作業をさせたり、運転シミュレーターを使わせたところ、酔っている人と同じかそれ以上に悪い反応が出ました。睡眠不足の状態でお酒を飲むと、この影響はさらに大きくなります。
睡眠不足になると、普段よりもストレスや不安を感じるようになります3。不安になると、寝つきが悪くなったり、よく眠れなくなったりするため、悪循環に陥ることがあります。
睡眠を改善し深い睡眠をとることで不安の改善につながる、という研究結果もあり、認知行動療法(CBT)が、睡眠障害と不安の両方の治療に広く用いられています。
認知行動療法は、睡眠と不安の関係を断ち切ることで、適切な睡眠を取り戻し、起きているときの不安感を軽減することを目的としています7。
定期的な睡眠不足が体重増加を促進するという調査結果が出ています。
睡眠不足になると、食欲を増やすホルモンが増し、食欲を抑制するホルモンが減少するため食べ過ぎになったり、炭水化物や糖分の多い食べ物が欲しくなります。
また、エネルギーレベルにも影響し、日中の活動力が低下し消費するカロリーが低くなります9。
疲労は、女性の性欲を減退させる原因の第一位です。けれども睡眠時間を増やすことで、女性の性欲が上昇することが分かっています10。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群が原因で睡眠不足の男性は、テストステロンのレベルが低下し、性欲に悪影響を及ぼす可能性があります11。
不眠症に悩む人の多くは、睡眠を妨げるきっかけをなるべく避けるため、パートナーとは別の場所で寝ていることが多いようです。これは二人の親密な時間を減らすことにもつながります12。
睡眠不足になると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。また、予防接種への反応も鈍くなります。風邪やその他の感染症にかかりやすい人は、睡眠不足が原因のひとつかもしれません13。
また睡眠不足は炎症も起こしやすくなり、体内の炎症レベルが通常よりも高くなる可能性があります。炎症は、脳卒中や心臓病を含む多くの慢性疾患の危険因子です。普段から6時間以上寝ている人は、6時間未満しか寝ていない人に比べて、血中の炎症マーカーのレベルが低いと言われています14。
睡眠不足をよくあること、と放置せずに、できる限り規則正しい生活をおくり、充分な睡眠をとるように心がけましょう。
睡眠に問題を感じている方は、レスメドの睡眠セルフチェックをお試しください。いくつかの簡単な質問に答えていただくと、評価結果をメールで受け取ることができます。
また気になる症状がある場合は、ご自身の判断で、できるだけ早く医師に相談されてもよいかもしれません。
なぜ呼吸が安定しないと 睡眠障害が起きるのか? ご自身の生活の中で、プレッシャーや期待が高まる瞬間を思い浮かべてみてください。たとえば仕事の面接。家を出る前に家族から、「とにかく深呼吸しなさい。気持ちが落ち着くから」と言われませんか? 長い間大事にされてきた呼吸法が、実はリラクゼーションだけでなく、健康のカギを握っていることに、多くの人は気づいていません。1 ですが閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)が睡眠中の適切な呼吸を妨げる静かな障壁となっている人は、とても多いのです。2 この記事では、呼吸が私たちの健康にもたらす恩恵と、睡眠との関係について見ていきたいと思います。 見落とされていた呼吸法の再発見 呼吸法は生命を維持するのに役立ちますが、時代とともに見失われつつあります。 古代文化では、精神的な明晰さを高め、ストレスを軽減し、リラクゼーションを促進する可能性があるとして、長い間、呼吸のコントロールが重視されてきました.3 たとえばヨガの呼吸法(プラナヤマ)はインドで生まれ、少なくとも紀元前3000年頃から存在していたと考えられています。4 現代の慌ただしい生活の中で、私たちはしばしば呼吸を当たり前のこととして実践しています。そして興奮したりパニックに陥ったときに、深い呼吸が落ち着きをもたらし、状況を把握できることを思い出すのです。 意識的な呼吸法は、ストレスや不安のレベルを下げるという研究結果もあります。5 呼吸の力を活用する方法を学ぶことで、リラクゼーションの効果を引き出し、幸福感を高めることができるかもしれません。 良い呼吸が睡眠に重要な理由 呼吸は、私たちの体が機能するのに必要な酸素を得る手段です。また、老廃物である二酸化炭素を排出する働きもあります。6 ですが睡眠中に十分な呼吸ができていないと、酸素と二酸化炭素のバランスが崩れてしまいます。 無呼吸(呼吸の一時停止)になると、血液中の酸素濃度が低下し、二酸化炭素が増加します。7 これにより心臓の働きが悪くなり、血圧や心拍数が上昇します。7 睡眠中の長い呼吸の休止は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と呼ばれています。これは睡眠中に上気道が部分的または完全に塞がれることで起こります。7 無呼吸の間、脳は酸素レベルの低下を検知し、呼吸を再開させるために睡眠から短時間覚醒させることで反応します。 その結果睡眠が分断され、常に疲労を感じ、日中に眠気を感じるようになるのです。7 睡眠時無呼吸が健康に及ぼす影響 息を呑むほど感動的な体験をしたことがありますか? 私たちはみんな、人生の息を呑むような瞬間に酔いしれたいと思っているのでは。ですが睡眠時無呼吸で文字通り息を呑んでしまうと、疲労感が残り、日中集中できない状態が起きてしまいます。2 また睡眠時無呼は、記憶力の低下やイライラなどの気分の変化、さらにさまざまな合併症にも関連しています。2
夜寝る前にお酒を飲む、という方は多いですよね。アルコールを摂取すると、リラックスできる反面、さまざまな悪影響を体に及ぼします。睡眠の質が下がってしまうのもその一つです。睡眠改善のため、しばらく飲酒をお休みしてみませんか。
夜、眠れずにベッドで寝返りを打つことが多くありませんか?
必要な睡眠がとれない原因が何であれ、睡眠不足はわたしたちが考えるより、健康や生活に大きな影響を与えます。